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2010年9月23日 (木)

父のこと(5)

7月半ばにあった久しぶりの母からの電話は、母の声が小さく
元気がありませんでした。
父が入院したということを告げる電話だったので、それもそのはず
だったのですが。

その時点では真の病名が分かっておらず、
「意識消失発作」「胸水貯留」という診断がされていました。

  →参考:意識消失発作 胸水貯留

そもそも入院するきっかけとなったのが、意識消失(失神)でした。

それに伴ってか、それと並行してかは分かりませんが、
咳と呼吸困難、胸の痛みがあったこともあり、呼吸器系の異常
見られたため、検査したら胸水貯留も明らかになったのです。

当初意識消失と呼吸器系異常ということもあり、検査は主に
脳と肺の検査を行ったようです。

結果、脳には異常は認められず、肺は水がたまっていると
いうことで、その治療をするということを私も聞きました。

母は父が発作的に意識を失うことで脳の異常を気にして
いましたが、その時点では肺機能も含めて深刻な病気と
診断されなかったので、肺がん、もしくは脳腫瘍と診断
されなかったことで少し安堵したと母は言っていました。

父はその時(7月中旬~下旬まで)、実家から30分ほど離れた、
郊外の総合病院に入院していました。

そこに私が見舞いに行った時は、一時外出から帰ってきたばかり
だったようで、父は院内廊下から病室まで歩いていました。

寝たきりの入院生活を想像していた私は、それほど
ひどくなさそうでよかった、と母同様安堵したぐらいでした。

ただ、父の声はほとんど出ない状態でした。

話をするけれども、声はほんの少しかすれた声が小さく出るだけ。

声が出ない他に、食べ物が食べられない、口にしても上手く
飲み込めない、飲み込もうとすると道に食べ物が入るから
むせて咳がひどくなる、咳がひどくなると胸痛や呼吸障害
出るからつらいんだよ、と父は出ない声をふりしぼって
がらがら声で話してくれました。

いわゆる嚥下(えんげ)障害」が見られたのでした。

 →参考:嚥下障害

病院食は出るけども、固形物は食べ辛く、豆腐やゼリーなどの
のどごしのいい柔らかい流動性のあるものだったらようやく
食べられる、といった感じでした。

その時の父は、顔色もそれほど悪くなかったので、食べ物が
食べられないことと、声が出ないという2点
が、今の最大の
問題点なのだと私は思いました。

私たちは普段、いともたやすく食べ物を食べたり飲み物を
飲んだりしているけども、それは体の機能が正常に働くことに
よってはじめて成立することなのだとあらためて
思いました。

体が「普通」=健康というのは、
「異常ではない」状態を、継続的に「維持」できている
貴重な状態
なのだと思います。

「普通でいること」は「当たり前のこと」と無意識に思いがちですが、
「普通」は「異常なしの状態が続くこと」でもあると思うと、それは
決して「当たり前」ではないんだ、と思い知らされます。

早くよくなって元通りの生活に戻れればいいね、と父を励ましました。
父も笑ってうなずいていました。

それが7月25日のことで、父のそんな喉の異常が気になると
いうことから、その日は既に消化器系の精密検査をした後ぐらい
でした。

数日後にその結果が分かる、と母は父の横で荷物を片付けながら
言っていました。

その2日後の7月27日夜。

母から電話がありました。

病院の先生から検査結果について説明があったと。

その声は、これまで以上に小さく沈んでいました。

「おとうさん、食道に悪性の腫瘍が見つかったって・・
 まるで崖から突き落とされたような気分よ・・」

と泣きそうな電話の向こうの母に、私もショックでなんと
言っていいか分からないほど大きく動揺したのでした。

   

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