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2010年9月28日 (火)

父のこと(6)

7月に体調を崩し入院した父に最終的に言い渡された病名は
「食道がん」でした。

電話で連絡してきた母には、その進行度合いや助かる可能性が
高いのか低いのかを聞けませんでした。

というより、電話連絡してきた母の口調から、助かる可能性が
低いことを察知したのでそれ以上母に聞けなかったし私自身も
怖くて聞けませんでした。

  

最初の病院で父が癌であることを知らされてから、母はある行動を
とりました。

それは、父の実の子供さんへ父の病名と容態を知らせるための
電話連絡
でした。

父には実の息子さんと娘さん(兄妹)がいます。

息子さん(タカシさん:仮名)は私より少し年上、
娘さん(ユウリさん:仮名)は私より少し年下で、世代としては
ほとんど同世代です。
父もまたタカシさんたちが幼い頃に離婚していました。

父の家系は教師一家のようで、父の親も教師、父自身は体育教師、
父も国語教師の女性と結婚し、その間に生まれた長男のタカシさんも
今では高校の体育教師、長女のユウリさんも今は中学校の教師
という職業に就いていて、そのタカシさんの奥さんも高校の教師、
ユウリさんのお婿さんも小学校教師という身内の全てが「教師」であり、
私たち母子とは全く違う世界の人たちでした。

私が会社に入ってしばらくしてから1,2回ほど彼らと会った事が
あります。
当時、父と母が一緒に食事をしないか、と引き合わせてくれた
のです。

父の整った顔立ちに似ているようで、タカシさんもユウリさんも
とても端整な顔立ちで、そういう容姿からしても職業にしても
経済的に裕福な環境にしても、私たちとは違う、という感じが
しました。

タカシさんとユウリさんが幼い頃に父は離婚し、タカシさんと
ユウリさんは実母(前妻)が引き取り、その後数年を父は
独身ですごし、地域の体育館で夜間に行われていたスポーツ
レクレーション(バドミントン)を通じて父と私の母は知り合い
親しくなっていったようでした。

なので、私は生まれてすぐの頃から父はいなかったのですが
タカシさんとユウリさんは、幼い頃の父の思い出はあったけども
途中から父が不在になってしまったので、子供時代から思春期
の時代を父に対して複雑な思いを抱いて過ごしたという意味では
境遇は似ていたのかもしれません。

子供たちもまた教師の道を選んでいるということは、教師であった
父や彼らの母(父の前妻)の影響は大きかったのだろうと思います。

「生まれてから幼少時代まで」実の父と過ごしたタカシさんたちと、
「成人してから今まで」義理の父として過ごしてきた私。

複雑な思いは、私たちだけでなく、父にとっても同じだったかも
しれません。

父の前妻との離婚後も、タカシさんとユウリさんは父として
時々会っていたようだ、と私の母が言っていました。
(母もおそらく父がそう語っていたのを聞いて知っていた)

その当時彼らはどのような思いで過ごしていたんでしょうか。

「父」という共通の存在に関わりながら、お互いの存在を
ほとんど知らずにいた彼らと私。

タカシさんたちが社会人(教師)となってからは、めったに
会うこともなくなっていたようです。

その分、父は私の母と生活を共にしながら第二の人生
歩み始め自らの教員生活を全うし、引退後は第三の人生として
パークゴルフや木工などで自分の世界を築き上げていったのだと
思います。
父のその第二、第三の人生に時々私が脇役として登場して
いた、といった感じでしょうか。
そこにはタカシさんたちはほとんど登場していなかったぐらいの
縁の薄さになっていました。

それでも、父にとってタカシさんとユウリさんは大事な実の子供。

父は私にも本当の娘同様優しくしてくれましたが、私から見ると
やはり父にとってはどんなに離れていても血のつながった実の
子供たちのことが可愛くもあり気がかりであったように思います。

そんな父の思いやタカシさんとユウリさんの思いをくんでか
母はタカシさんとユウリさんに連絡したのでした。

タカシさんたちもかなり驚いたと思います。

それからは、父の病気の治療や転院についての病院との相談は
主に母とタカシさんとユウリさんで対応しました。

私は受身的に母からの連絡や報告を受けるのみに留まりました。

そしてタカシさん、ユウリさん、母は病院側とも相談して
当初入院していた総合病院からもう少し大きな総合病院に
転院することを決めたのでした。

そして癌が発覚してから約一週間後の8月4日に父は市内の
日赤病院に転院しました。

 

  

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